APU言語研究論叢
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日本と中国の中国語公共サインにおける程度副詞の 使用調査及び書面語教育への示唆
王 楓
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 9 巻 p. 44-52

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抄録

 現代中国語において、程度副詞は数が多く、使用頻度も高く、使用範囲が広いと同時に、中国語教育上の 難点の一つでもある。王力氏が程度副詞を絶対的程度副詞と相対的程度副詞に分類して以来、多くの学者が この枠組の下で程度副詞について議論を行った。しかし、多くの研究は話し言葉や小説をコーパスデータと して使用し、取り上げた用例には常に口語的な要素が含まれている。また異なる文体での程度副詞の使い分 けを分析した研究は多くない。陳羽、徐素萍(2019)は、程度副詞が話し言葉と書面語で使用頻度と使用レ ベルに差があることを指摘し、典型的な書面語の中では出現頻度は明らかに低いことを述べている。李宇鳳 (2007)は、実際のデータを調査することにより、程度副詞が主に相互的なコメント文脈で用いられると指 摘している。  本研究は、さらに程度副詞が典型的な書面語での使用頻度が低いことを明らかにするために、中国語公共 サインを典型的な書面語の代表として、中国大陸と台湾の一定数量の中国語公共サインの実例を収集し、考 察した。また、程度副詞と中国語公共サインの特徴を分析した上で、程度副詞と中国語公共サインのテキス ト的な特徴が一致せず、中国語公共サインでの程度副詞の使用頻度が低く、使用範囲が狭いという仮説を提 起した。そして、中国語公共サインの例に基づいて、この仮説を証明する。同時に、日本で現れた中国語公 共サインについても一定範囲の考察を行った。その上で、現代中国語書面語教育における程度副詞の位置及 び教育上の注意事項についても探究した。

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© 2024 立命館アジア太平洋研究センター
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