2009 年 57 巻 1 号 p. 133-139
ナンノクロロプシス中のエイコサペンタエン酸(EPA; 20:5n-3)濃度に及ぼす光照射時間の影響を屋外に設置した平面培養水槽で検証すると共に,ナンノクロロプシス給餌による連続培養S型ワムシの脂肪酸組成について調べた。その結果,24時間の光照射培養区は,暗期のある太陽光のみ照射培養区に比べ,ナンノクロロプシス中の EPA 濃度が低いことが明らかとなった。またS型ワムシの連続培養は,ナンノクロロプシス給餌によって長期的な安定培養が可能であり,ワムシ中の脂肪酸組成は,特にナンノクロロプシスには存在しないドコサペンタエン酸(DPA; 22:5n-3)が極性脂質中に比較的多い割合で存在していることが分かった。