水産増殖
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放流標識として切除したサクラマスの腹鰭および背鰭の再生
田子 泰彦
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キーワード: サクラマス, 鰭切除, 標識, 再生
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1997 年 45 巻 4 号 p. 479-483

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抄録

大量放流用の標識として切除したサクラマスの背鰭及び腹鰭の再生状況を明らかにした。背鰭切除後約8~9カ月経過した群では, 再生が認められた個体割合は71.9~79.5%で, そのうちほぼ完全に再生した割合は5.2~27.7%であった。腹鰭切除後約8~9カ月経過した群では, 再生が認められた個体割合は50.7~86.4%で, そのうちほぼ完全に再生した割合は8.1~38.3%であった。鰭切除後約27~28カ月経過したサクラマス親魚では, 51.5%の腹鰭がほぼ完全に再生していた。
これらの結果は, 背鰭や腹鰭標識によって放流した幼魚の回帰率は実際よりも低く算定されたことを示しており, 放流魚のより正確な回帰率を得るためには, 脂鰭切除標識に加えて耳石標識やCoded Wire Tagなどの内部標識を組み合わせて用いるべきだと考えられた。

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