水産増殖
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成長差がサケ幼魚(Oncorhynchus keta)の鰓のNa+, K+-ATPaseに与える影響
伴 真俊
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2000 年 48 巻 3 号 p. 503-508

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抄録

サケ幼魚(Oncorhynchus keta)を,様々な給餌条件下で飼育した。1992年3月に浮上した群(92年群),1995年2月(95-a年群)および3月(95-b年群)に浮上した群,1996年2月に浮上した群(96年群)の給餌率は,実験期間を通じて各々1日体重当たり4%,1%,3%に設定した。92年群および96年群の瞬間成長係数は,各々3月と2月に0.0045以上を示したが,その後は0.0040以下になった。95-a年群と95-b年群の瞬間成長係数は,実験期間を通じて0.0029以下だった。浮上月が等しい年群問で成長率を比較した結果,92年群と95-b年群間の3月および95-a年群と96年群問の2月に有意差が認められた。92年群と96年群の鰓のNa+,K+-ATPase活性は浮上後上昇を続け,各々5月と6月に最高値に達した。しかし,95-a年群と95-b年群には,明瞭な酵素活性の上昇が認められなかった。これらの結果は,浮上から1カ月間の高成長が,サケ幼魚の鰓におけるNa+,K+-ATPaseの発達に重要であることを示している。

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