水産増殖
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アコヤガイの鰓換水に及ぼすオゾン処理海水の影響
山元 憲一近藤 昌和半田 岳志中村 真敏
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2000 年 48 巻 3 号 p. 509-516

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抄録

本研究は,アコヤガイに及ぼすオゾン処理海水の影響を調べる目的で,同海水に24時間浸漬して換水量,鰓の繊毛運動を測定し,鰓の表面構造を観察した。また,残留オキシダント濃度0.70mgO3/lの海水に浸漬し,3時間毎に取り上げて換水量を測定した。合わせて,換水量がそれらの浸漬から回復するのに要する日数も調べた。24時間浸漬では,換水量および鰓の繊毛運動は残留オキシダント濃度の増大に伴って減少し,0.58mgO3/1で零を示す個体が出現した。回復に要する日数は,0.42mgO3/l以下では23日以内,0.58~0.70mgO3/lでは10~80日で,この時20%の個体が回復せずに5~76日後にへい死した。3時間毎に調べると,換水量は時間の経過に伴って減少した。回復は,12時間以内の浸漬では23日以内,24時間では25~80日であった。オゾン処理海水への浸漬による鰓葉の損傷は,Ordinary filamentの前繊毛,側繊毛,Primary filamentの繊毛と順に消失し,次いで結束糸の崩壊,鰓葉の先端の消失へと進行すると推測した。

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© 日本水産増殖学会
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