水産増殖
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マツカワ人工種苗の飢餓耐性
高田 義幸川真田 憲治
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2000 年 48 巻 3 号 p. 517-522

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抄録

マツカワ人工種苗の無給餌飼育を行い生残曲線を得た。無給餌飼育開始から飼育魚の半数が死亡するまでの日数は,全長50mm種苗で63日,80mm種苗で112日であり,全長100mm種苗では120日間で死亡する個体は見られなかった。肥満度や比肝重など体型的な変化は,種苗サイズが大きくなるにつれて減少する時期が遅くなり,生残と同様,体サイズの増大に伴って,飢餓耐性が高くなる傾向を支持した。肝膵臓中のグリコーゲンは,50,80mm種苗で絶食2日目までに減少したが,100mm種苗では絶食65日目まで減少は認められず,体サイズと飢餓耐性の関係を裏付ける結果であった。ところが,貯蔵栄養物質が使われてから減少すると思われたRNA/DNA比は,すべてのサイズで絶食10日目までに低下し,絶食の早い時期からタンパク質合成を低下させていたことが示唆された。これらの変化が,飼育水温の違いによるのかマツカワの生理的特徴なのかは今後の課題として残された。

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© 日本水産増殖学会
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