2000 年 48 巻 3 号 p. 553-557
先に報告した養鰻業界が行う医薬品の自主残留検査に用いる直接バイオアッセイ法を技術補完するためのHPLC簡易法の実用性を検討した。ウナギで多用されているOTC,OAおよびMLXの3種の医薬品を用い,実際の養殖形態で自然摂餌により給餌投薬し,継時的にHPLC簡易法で測定した結果,いずれの医薬品も0.05μg/gまで十分に検出できることがわかった。また,極性の著しく異なる抗生物質と合成抗菌剤を2系統で前処理し,単一カラムで2種の移動相を基本とした分析のシステム化を図ることにより,上記3剤にSMMXを加えた4剤を一斉に分離定量できることが明らかになった。さらに,MLX,SMMXの主要代謝物についても同時定量が可能であると考えられた。本簡易法は,非常に迅速で実用性に優れており,直接バイオアッセイ法で判定が不確実な場合や残留濃度の定量が必要な場合などに,指導機関が確認する手法として有効であると考えられた。