水産増殖
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主成分分析とクラスター分析による農薬毒性の分類
鬼倉 徳雄岸 克行中村 亜希子
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2004 年 52 巻 3 号 p. 265-270

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抄録

17種類の農薬について, ミジンコ2種の急性毒性試験および繁殖阻害試験, 魚卵仔魚短期毒性試験と単細胞緑藻成長阻害試験を行い, それらの毒性データについて主成分分析とクラスター分析を行い, 農薬毒性の分類を試みた。ミジンコ類については10ppbを下回る濃度で急性毒性を示した農薬が数種存在した。ミジンコの繁殖試験では多くの農薬で急性毒性値よりも低い濃度で毒性を示した。強い魚毒性, 緑藻毒性を示したのは1および2種であった (10ppb以下) 。各農薬の毒性データについて主成分分析を行ったところ, 寄与率が高かったのは3成分であった。それぞれミジンコ類への毒性寄与が大きい, 緑藻への毒性寄与が大きい, 魚への毒性寄与が大きい成分であった。また, その結果を使ってクラスター分析を行ったところ, 6つのクラスターに分類された。本研究のように数種の生物の毒性を評価することは, 生態系への配慮として重要であると考えられる。

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© 日本水産増殖学会
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