水産増殖
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小笠原諸島父島におけるイシガキダイの種苗生産
川辺 勝俊木村 ジョンソン
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2006 年 54 巻 4 号 p. 481-488

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抄録

2003年4月から6月にかけて小笠原諸島父島でイシガキダイの種苗生産を行った。受精卵は1m3ポリカーボネイト水槽3基に3万粒ずつ収容して飼育を開始した。仔魚には, S型ワムシ, アルテミア, 配合飼料, 冷凍コペポーダを成長に応じて給餌した。飼育水温は21.1~25.9℃であった。取り揚げは全長約20mmに達した日齢40に行い, 3水槽で合計37, 326尾を生産した。取り揚げた稚魚の活力は良好であった。単位水槽容積当たりの生産尾数は12, 442尾/m3で, 平均生残率は41.5%であった。稚魚の奇形率は4.3%であった。
仔稚魚の全長は, ふ化直後の3.50mmから, 日齢10の5.28mm, 日齢20の8.17mm, 日齢30の14.07mm, 日齢40の20.83mmと成長した。開鰾は日齢4から始まり, ほとんどの仔魚は日齢5までに開鰾した。仔魚は全長3.80mmに達した日齢3からS型ワムシの摂餌が認められ, 4.6mmからはアルテミア, 11.23mmからは配合飼料, 15.00mmからは冷凍コペポーダの摂餌が確認された。また, 仔魚は全長8~9mm以降は活発な遊泳行動がみられ, 全長12mm以降では, 急な加速や方向転換などの複雑な遊泳行動がみられた。共食いは日齢28以降でわずかにみられた。
今回の種苗生産方法を再現することによって, 当地では毎年安定的な種苗生産が可能となった。

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