2013 年 19 巻 p. 26-56
福島第一原発事故以来、さまざまな人々・組織が、さまざまな動機のもと大量の放射線測定データを採取・収集している。これらのデータは、科学的、医療的、歴史的な観点からして、極めて重要なデータであると言えるが、適切なアーカイブ化措置を欠くために、消失の危険にあるものも増えている。これをうけて、日本物理学会(JPS)と日本アーカイブズ学会(JSAS)は、国立国会図書館(NDL)の協力のもと、放射線測定データのアーカイブズ化を目指す試みに着手することとなった。しかし一方で、JSAS 内には、科学資料アーカイビングに精通したアーキビストが少ないという問題もある。小稿は、JSAS アーキビストが、上記試みに参画するきっかけの提供を意図して、科学資料アーカイビングに関する基本的な事項の紹介を行うものである。