年報カルチュラル・スタディーズ
Online ISSN : 2434-6268
Print ISSN : 2187-9222
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「私的エロス」のショーイズム
村西とおるのアダルトビデオにおける作為の開示
小田 視希
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2025 年 13 巻 p. 113-133

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抄録
本論はAV監督・村西とおるの作品に見られる、独自の真正性の演出を検討する。先行研究によれば、作為と現実のあわいを描くジャンルであるアダルトビデオでは、さまざまな撮影技法や特殊な性行為の描写によって、映像の真正性が追求されてきた。しかし村西作品では、たしかに「私的エロス」と呼ばれる価値観に基づいて真正性が追求される一方で、そこに演出の恣意性を露呈させる描写が入れ込まれている。本論はこうした作為を開示する手法を「ショーイズム」と定義したうえで、それがSMポルノ映画の流行や女性の社会進出といった同時代の文化的社会的状況を想起させることで、かえって作中の出来事や女性像の真正性を高める手段であったと明らかにする。
そのために、第1-2章では本論の問題意識と先行研究における真正性の議論を確認する。第3章では村西の初期作品から、その手法や価値観が形成される足跡を追う。第4章では村西の代表作である『SMぽいの好き』(1986)を取り上げ、私的エロスをめぐる演出と同時代の女性像の関係を論じる。第5章では『すすり泣きの女』(1990-1992)シリーズの検討から、村西の手法が限界を迎える過程を跡付ける。
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