教育心理学年報
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I わが国の最近1年間における教育心理学の研究動向と展望
児童期および青年期の発達研究の動向
林 創
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2014 年 53 巻 p. 14-24

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抄録

 本稿は,2012年7月から2013年6月までの期間において,日本における児童期と青年期を対象とした発達的研究を概観したものである。この1年の研究を,「認知発達」,「社会的認知」,「対人関係」,「自己」,「精神的健康と適応」,「その他」に分類して,レビューを行った。認知発達に関する研究では,情報処理に関する研究から,身体運動を含む研究,現実との関連を重視した研究まで多様なものが報告されていた。社会的認知では,嘘の認識から罪悪感の理解まで多様な研究が検討されていた。対人関係では,青年期の友人関係や評価懸念を扱った研究などが見受けられた。自己では,アイデンティティにかかわる研究が多く報告されていた。精神的健康と適応では,震災等を中心としたレジリエンスの研究が数多く存在した。その他では,読書活動など教育的視点を重視した研究が多様に報告されていた。最後に,これらの研究から現実を意識した社会的貢献度の高い研究の重要性を述べるとともに,研究方法の問題や学際的研究の必要性などを論じた。

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© 2014 日本教育心理学会
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