2018 年 57 巻 p. 112-122
本稿は,2016年7月から2017年6月末までの1年間で発表された特別支援教育における教育心理学に関する研究の動向を概観したものである。発表論文について数的な分析を行った結果,近年の発表件数に減少傾向が見られた。また聴覚障害児教育に焦点を当て研究動向を分析した。その結果,音声言語の習得に関する指導法については,バイリンガルろう教育や人工内耳装用児の育ちの実態から,発達早期の段階から音声を利用して指導する方法やキュードスピーチが再び評価されていることが示唆された。また,認知発達や家族心理についても概観し,これらを踏まえて今後の展望を述べた。