本稿では,教授・学習・認知領域の動向として,動機づけ研究を中心に学習について社会的文脈に着目したレビューを行った。本稿では,まず2024年度の日本教育心理学会の動向として,日本教育心理学会第66回総会でのポスター発表の概要についてまとめた。次に,社会的文脈に着目した国内の論文の内容について,過去3年分のレビューを行った。特に,「協同学習・友人との学習」,「学級(学校)環境」,「学校を取り巻く環境」,「家庭環境」の観点から論じた。全体的には,学級(学校)環境に注目した研究が最も多く発表されていた。一方で,部活動,心理的安全性(e.g., 教師と保護者の関係),多職種連携(地域社会と学校の関わり)など学級や学校を取り巻く環境に着目し,独自のテーマに取り組む論文がいくつか発表されていた。当該領域の研究に不足している点についても触れながら,今後の展望について議論した。