アレルギー
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Dapsoneの薬理作用に関する研究 : Colchicine及びCatalytic Scavengersの活性酸素減産作用との比較について
丹羽 靱負前田 正人
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1982 年 31 巻 10 号 p. 1048-1055

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抄録

dapsone(DDS)は, 好中球(PMNL)がその発生病理に重要な役割を演じていると考えられているdermatitis herpetiformisやimmune complex diseasesに非常に有効であると言われている.そこでわれわれは, 非常に強力な淡症因子として近年注目されてきた食細胞の産生する活性酸素(OI)に対するDDSの影響を知ろうとして, ヒトPMNLおよびxanthine-xanthine oxidase systemにおいて, OI(O^-_2, H_2O_2, OH・, chemiluminescence)を産生させ, DDSおよびcolchicine, 6種のcatalytic scavengersをdose responseに加え, それぞれのOI値に与える変化を, DDSを中心に各薬剤に比較検討した.結果, 他の多くのscavengersにみられたのと同様, また同程度に強力に, DDSにO^-_2以外のOIの強力な除去作用が認められた.われわれは, 実験当初, O^-_2は若干増加させ, 他のOIは著明に減少させるDDSの作用は, 薬剤のSOD activity抑制作用によるものかと推測したが, PMNL系のみならず, SODや細胞の含有されていないxanthine oxidase systemにおいても同様の現象が認められたことより, その可能性は否定された.OH・のあるいはOH・と ^1O_2両者のscavengersにもO^-_2の軽度の増産作用が認められることから, DDSは, H_2O_2, OH・および^1O_2のscavengersの作用を兼備した作用を有するものと結論づけられた.colchicineは, xanthine系で産生されるOIは減少させず, PMNL系のOI産生のみを低下させることから, そのOI減産作用は細胞代謝障害性に基因するものと考えられた.DDSの抗炎症作用は, colchicineのそれと異なり, 抗原刺激により機能亢進した食細胞より増産されたOI中の強力な作用を有するOH・, ^1O_2を除去して, autooxidative damageより生体を保護することによるものと推測された.

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© 1982 日本アレルギー学会
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