抄録
スギ花粉の主要アレルゲンであるCry j I蛋白の高感度な定量法として, Cry j Iに対するモノクローナル抗体を用いたenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) を確立した. すなわち, マイクロプレートのウェルにモノクローナル抗体 (KW-S131) を固相化し, 精製Cry j I又は試料, 続いてアルカリフォスファターゼ (Alp) 標識モノクローナル抗体 (KW-S10) を順に反応させた後, 基質溶液を加えて発色させ415nmの吸光度を測定するものである. 本ELISAでのCry j Iの測定範囲は0.16〜2.5ng/mlであり, 測定感度は0.16ng/ml と非常に高いものであった. また, 共通抗原性をもつヒノキ花粉の抗原とは反応せずスギ花粉のCry j Iのみを測定する高い特異性を示した. このELISAはスギ花粉エキスに含まれるCry j Iの定量ができ, スギ花粉エキスの標準化に応用できるものと思われる.