抄録
途上国において地方分権化が農村貧困削減に影響を与えるとよく言われる.本稿では,インドネシアにおける地方分権下で実施された農村貧困削減プログラムが農村貧困問題に与える影響について考察する.その際,社会福祉,村落開発,零細企業の促進の問題に関する三つのプログラムを中心に検討を行う.また,中部ジャワのプルバリンガ県内三つの村の事例地において,計232世帯の現地調査によるデータを用いて実証分析を行う.その結果,事例地において地方分権化後約12年たった時点で,食糧確保,住宅状況,健康保険,飲料水,電気へのアクセス,収入および資産保有状況に改善がみられるが,肝心な貧困層においてそれが必ずしも浸透しておらず,地方分権下での農村貧困削減プログラムがその目的を達成しているとはいえない.その背景にはプログラム実施上の問題があり,それを明らかにするには今後さらなる関連研究が待たれる.