優れた実践家は必ずしも優れたスーパーバイザーとは限らない。筆者は日本においてスーパービジョンが十分に展開していない要因を(1)スーパービジョンそのものに関する知識が初学者に伝わっていないことと(2)日本にあったスーパービジョンモデルがまだ存在していないからだと考えた。本論の目的は(1)スーパービジョンの目的と定義を諸外国の理論から整理したうえ,(2)アメリカの臨床心理学と学校心理学のスーパービジョンモデルを紹介し,(3)日本の学校心理士の職業的成長にとって必要な研修内容について考察を行うものである。結論として(1)諸文献からスーパービジョンの最大の目的はスーパーバイジーの職業的成長とクライエントの利益の保証にあるとの共通点があることが確認できた。(2)心理臨床モデルの代表としてIDM(Integrative Developmental Model)と学校心理学の代表モデルとしてDEP(Developmental, Ecological, Problem-solving Model)が紹介され,学校心理学のスーパービジョンにはより幅広い視点が必要であることが明らかとなった。そして(3)2つのモデルをベースに,現在の学校心理士のスーパービジョン研修内容について提言を行った。