2016 年 15 巻 2 号 p. 86-97
ユーザがテクスチャ合成を制御する手法として提案されたユーザ制御テクスチャ合成は,ユーザが描いた目的画像に合わせて入力テクスチャ(入力画像)から出力テクスチャ(出力画像)を合成する.入力画像に物体と背景が含まれている場合,通常,ユーザ制御テクスチャ合成では,入力画像上の物体と背景の画素を同等に扱い,物体の輪郭を意図的には考慮しない.そのため,入力画像上の物体の画素領域だけを対象として異なる背景に対して合成を行いたい場合,ユーザが目的画像上におおまかに描いた物体の輪郭に合わせて入力画像上の物体の特徴的な輪郭を出力画像上に再現することは難しい.そこで,本研究では,境界画素と境界距離を用いた最適な入力画素の評価により,目的画像上の物体輪郭を適切に拡張し,入力画像上の物体輪郭を意図的に再現する手法を提案する.