2017 年 29 巻 p. 42-46
動作にともない発声することは,運動調節系に利得を及ぼすことが報告されている。臨床の場面では,動作にともない自分自身が発声していることをイメージ(以下,発声イメージ)すると動作が行いやすくなると訴えるクライアントに遭遇する。そこで,本研究は,発声イメージが脊髄興奮準位に与える影響を明らかにすることを目的に研究を実施した。健常成人男性8名を対象として,安静条件,発声イメージ条件,実際に発声を行う条件(以下,発声条件)にてH波を測定した。なお,各条件の直前にコントロールとしてH波を測定し,それに対する各条件の変化率(%)を算出した。その結果,安静条件103%,発声イメージ条件103%,発声条件142%であった。このことにより,発声イメージは,脊髄興奮準位を増強しないことが示唆された。