東北理学療法学
Online ISSN : 2189-5686
Print ISSN : 0915-2180
ISSN-L : 2189-5686
29 巻
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巻頭言
目次
研究論文
  • 鈴木 博人, 鈴木 誠, 西山 徹, 中山 知美, 秋元 礼智, 荒谷 佳苗, 猪股 拓朗, 関根 拓馬, 芳賀 幸恵, 藤澤 宏幸
    2017 年 29 巻 p. 1-6
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では,各歩行速度条件における前方牽引トレッドミル歩行時の呼吸循環応答と筋活動について明らかにすることとした。

    【方法】対象者は健常成人男性13名(平均年齢21.0±0.8歳)とし,通常歩行と牽引歩行(体重の5%牽引)を20, 40, 60, 80 m/minの速度条件で実施させた。その際,酸素摂取量,心拍数と下肢筋活動(7筋)を測定した。筋活動データより積分筋電値を算出した.また呼吸循環応答は,終了直前30秒間のデータを用いた。

    【結果】酸素摂取量は,20 m/min以外の歩行速度条件において通常歩行よりも牽引歩行で有意な減少を示した。積分筋電量については,腓腹筋内側頭およびヒラメ筋で,80 m/minの牽引歩行で有意に減少した。 さらに,外側広筋では60, 80 m/minの牽引歩行で有意に増加した。

    【結語】結果より,前方牽引歩行は60 m/min,80 m/minでエネルギー消費量が抑えられることが示唆さ れた。歩行において重要な推進力を生成する下腿三頭筋の活動量が減少したことで,エネルギーコストが減少したと推察する。

  • 中江 秀幸, 相馬 正之, 坂上 尚穗
    2017 年 29 巻 p. 7-14
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,通所介護(デイサービス)と通所リハ(デイケア)の事業所を対象に在宅パーキンソン病 (Parkinsonʼs Disease; PD)患者の利用状況について現状を調査した。B市内の通所事業所を対象に郵送法・ 無記名式で,定員数やリハ担当職種,利用目的,リハ内容,利用者からの要望,事業所側の問題などを調査 した。その結果,PD患者の利用率は78.2%,Hoehn&Yahr重症度ではstageⅢの利用者が最も多かった。 リハ担当職種は介護職と看護職が多く,理学・作業療法士は全事業所の22.5%の担当率であった。本調査結 果から,デイサービスとデイケアに共通した利用目的は「外出の機会確保」「日常生活動作の維持」であり, 利用目的が「筋力の維持」「PDに対するリハ」であればデイケアを利用している割合が高く,利用目的に応じた選択・利用がなされていた。事業者側は,「独りで実施できない」「リハ時間が短い」といったPD患者の要望を把握しているものの,PDという慢性進行性疾患と薬物依存度が高い疾患特性から医学的情報や知 識や技術の不足などの問題を抱えていることが明らかとなった。

  • 岩坂 憂児
    2017 年 29 巻 p. 15-19
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は運動観察に用いる動画を提示するときの身体の位置が連続的運動学習に影響を与えるかどうかを調べるものである。

    【方法】21名の右利き健常成人をランダムに3群(手近位での運動観察群:AON群,手遠位での運動観察群:AOF群,対照群)に分けた。運動課題は左手での連続反応時間課題とし,反応時間を評価指標とした。 プレテストを実施した後,AON群とAOF群に対して他者が課題を実施している動画の観察を,対照群にはモザイク動画を3分間タブレットで視聴させた。またAON群は左手直上,AOF群と対照群は左手から離れ た場所にタブレットを置き,視聴後ポストテストを行った。

    【結果】ポストテストでは有意な主効果が認められ,AON群ではAOF群と対照群と比較して反応時間が 有意に速いことが認められた。

    【結語】運動観察中の身体の位置は運動学習に影響を与えるということが示唆された。

  • 大鹿糠 徹, 阿部 浩明, 関 崇志, 大橋 信義, 辻本 直秀, 神 将文
    2017 年 29 巻 p. 20-27
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】脳卒中重度片麻痺者に対し,背屈遊動とした長下肢装具(KAFO)を用いた無杖での二動作前型歩行(以下,背屈遊動前型無杖歩行)を実施した際と,杖と背屈制限を設けたKAFOを用いた三動作揃え 型歩行(以下,背屈制限揃え型杖歩行)を実施した際の歩行中の麻痺側下肢筋活動の差異を明らかにする事を目的とした。

    【対象および方法】対象は当院へ入院した脳卒中重度片麻痺者のうち,歩行練習実施に際してKAFOを必要とした患者15名である。測定条件は背屈遊動前型無杖歩行と背屈制限揃え型杖歩行の2条件とし,麻痺側 下肢筋活動の評価には表面筋電図を用いた。測定筋は麻痺側の大殿筋,大腿筋膜張筋,大腿直筋,半腱様筋,前脛骨筋,腓腹筋内側頭とし,麻痺側立脚期中の筋電図積分値を算出し,2条件で比較した。

    【結果】背屈遊動前型無杖歩行時には背屈制限揃え型杖歩行時よりも麻痺側下肢筋活動が有意に増加した。

    【考察】脳卒中重度片麻痺者の歩行練習において,背屈遊動前型無杖歩行は背屈制限揃え型杖歩行よりも麻痺側下肢筋活動を増加させることが期待できるものと思われる。

  • 吉田 高幸, 川上 慎吾, 鈴木 博人, 藤澤 宏幸
    2017 年 29 巻 p. 28-32
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,健常成人における立位から長座位への着座動作の所要時間および運動パターンについて明らかにすることとした。

    【対象】健常若年者71名(年齢19.2±0.4歳)。

    【方法】至適速度での着座動作を矢状面および前額面の2方向からビデオカメラにて測定後,運動パターンを分類した。所要時間の計測はストップウォッチを使用し,一人の対象者につき着座動作を2施行実施した。

    【結果】所要時間は,平均3.0±0.5秒であり,対称性後方リーチ-非回旋-対称性パターンと非対称後方リーチ-部分回旋-対称性パターンの所要時間に有意差が確認された(p<0.01)。運動パターンは,非対称後方リーチ-部分回旋-対称性パターンが最も多く選択された(49.3%)。また,性別と運動パターンに有意な関連性が確認された(p<0.01)。

    【結語】重力方向への運動であっても,エネルギーコストを最小にするべく対称性の運動パターンをとることが考えられた。

  • 柏木 智一, 横山 徹
    2017 年 29 巻 p. 33-41
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    腰部脊柱管狭窄症の術前と術後3カ月の間欠性跛行とQOLの関連性について調査した。当院において手術を施行したLSS患者20例(男性7例,女性13例,平均年齢72.1±6.7歳)を対象とした。評価項目は,連続歩行テスト(歩行距離と歩行時VAS)とQOL評価としてMOS Short-Form 36-Item Health Survey日本語版ver.2(以下:SF-36)と日本整形外科学会腰痛評価質問票(以下:JOABPEQ)とした。評価は術前と 術後3カ月に実施した。手術内容は全例部分腰椎椎弓切除術であった。術後の理学療法は3,4週間の入院 期間中のみ実施した。術前では連続歩行距離とJOABPEQの歩行機能において,術後3カ月では連続歩行距離とSF-36のPF,BP,GH,SF,JOABPEQの疼痛関連,歩行機能,心理機能において有意な相関が認め られた。術後3カ月において連続歩行距離の重要性が示唆された。

  • 古川 勉寛, 楊箸 隆哉, 藤原 孝之, 成田 正行
    2017 年 29 巻 p. 42-46
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    動作にともない発声することは,運動調節系に利得を及ぼすことが報告されている。臨床の場面では,動作にともない自分自身が発声していることをイメージ(以下,発声イメージ)すると動作が行いやすくなると訴えるクライアントに遭遇する。そこで,本研究は,発声イメージが脊髄興奮準位に与える影響を明らかにすることを目的に研究を実施した。健常成人男性8名を対象として,安静条件,発声イメージ条件,実際に発声を行う条件(以下,発声条件)にてH波を測定した。なお,各条件の直前にコントロールとしてH波を測定し,それに対する各条件の変化率(%)を算出した。その結果,安静条件103%,発声イメージ条件103%,発声条件142%であった。このことにより,発声イメージは,脊髄興奮準位を増強しないことが示唆された。

  • 古川 勉寛, 佐々木 広人, 藤原 孝之, 小沼 亮
    2017 年 29 巻 p. 46-49
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    聴覚刺激強度の変化が下肢骨格筋支配の脊髄興奮準位に及ぼす影響を明らかにするために,Hoffman波(以下,H波)を測定した。

    【方法】:健常成人男性6名(21歳)を対象とした。聴覚刺激は,周波数250Hzの音源を使用して10dBから80dBまで10dB間隔でランダムに刺激した。H波の測定は,右膝窩部から脛骨神経を電気刺激し,同側のヒラメ筋筋腹中央部から導出した。

    【結果】:H波変化率(%)は,70dBで125%,80dBで142%であった。多重比較検定の結果,10dBと80dB間に有意差が認められた(p<0.05)。

  • ―正投影面および斜投影面での比較―
    関 裕也, 対馬 栄輝
    2017 年 29 巻 p. 50-53
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    デジタルビデオで撮影したプラスチックゴニオメータの角度を計測した基礎研究(2015)では,被写体が45°回旋した斜投影面でも,また撮影画面の端に近い範囲でも誤差の少ない角度測定が可能であった。同等 の結果が,身体動作を対象とした場合でも得られるか確認することを目的とした。対象は健常成人7名とした。デジタルビデオカメラを2台用い,1台は被検者の立ち上がり動作を正投影面で撮影画面中央で撮影し, もう1台は45°回旋した斜投影面で撮影画面の端に被検者が映るように設定し同じ動作を同時に撮影した。 離殿時の膝関節の屈曲角度を測定し,正投影面と斜投影面の測定角度の誤差と級内相関係数ICC(1,1)を求めた。結果,誤差は±5°未満で,ICC(1,1)はρ=0.95であった。結果より,正投影面と斜投影面の測定角度には 誤差が少なく,信頼性が高いことが分かった。つまり,筆者らの先行研究で得られた知見は,身体動作を対象とした動作分析にも適用可能であった。

  • 齊藤 恵子, 皆方 伸, 佐藤 雄一
    2017 年 29 巻 p. 54-59
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,脳卒中急性期患者での体重変化とエネルギー摂取量(EI)とエネルギー消費量の関係 を検討し,栄養摂取方法の違いによる差も併せて検討することである。対象は当センターに入院した脳卒中 急性期患者12名とした。検討項目は,体重減少率,EI,基礎エネルギー消費量(BEE),安静時エネルギー消費量(REE),エネルギー代謝量(%REE),1日あたりのリハビリテーション実施平均単位数,NIHSS,脳卒中機能評価法の運動項目総得点(SIAS-M)とした。対象群全体で体重変化やエネルギー量について検 討した。また,栄養摂取方法の違いにより,対象を経管栄養群(経管群)5名と経口摂取群(経口群)7名 の2群に分類し,各検討項目を比較した。結果,本研究では体重減少や代謝亢進を認め,EIはREEに対して不足していた。よって,本症例での体重減少はREEに対するEIの不足が一因であることが示唆された。

  • 石川 大瑛, 尾田 敦, 前田 健太郎, 浦本 史也, 横山 寛子, 藤林 直樹, 鹿内 和也, 伊藤 亮太, 川口 陽亮
    2017 年 29 巻 p. 60-63
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】健常者における静的立位での外反母趾角と後足部アライメントの関連性を明らかとすることである。【方法】対象は健常大学生178名(男性107名,女性71名,年齢22±3歳,身長167.5±8.1cm,体重60.0±9.2kg,BMI21.3±2.4)である。評価項目は,第一趾側角,第五趾側角,足底接地率,足部アーチ高率,Leg-Heel-Angle(以下,LHA),Floor-Heel-Angle(以下,FHA)である。統計学的処理は,第一趾側角を従属変数とし,第五趾側角,足底接地率,足部アーチ高率,LHA,FHA,BMIを独立変数とした重回帰分析を行った。【結果】足部アーチ高率(β=-0.25,p<0.05)と内反小趾角(β=-0.16,p<0.05)が選択された(R2=0.11,p<0.05)。【結語】足部アーチ高率は外反母趾の原因としての報告があり,それを支持するものとなった。また,足趾の変形は足部の内外側どちらに荷重が集中しているかで異なると考えられる。しかしそのR2は0.11と低く,外反母趾角に影響を与える因子はこの他にもあるものと考えられる。

  • 鹿内 和也, 尾田 敦, 石川 大瑛, 川口 陽亮, 吉田 深咲, 横山 寛子, 前田 健太郎, 浦本 史也, 伊藤 亮太, 藤林 直樹
    2017 年 29 巻 p. 64-68
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は小学校高学年児童の50m走のタイムとアーチ高率及び足趾把持力の関連について,継続調査により検討することである。【対象と方法】小学校4年時から6年時まで3年間継続して調査可能であった児童86名(男子43名,女子43名)を対象とした。小学校にて実際に行われた新体力テストより50m走のタイムを採取した。右足にてアーチ高率および体重比足趾把持力の測定を行った。各項目を相関分析により比較した。【結果】4年時と5年時の50m走のタイムと体重比足趾把持力に有意な負の相関が認められた(4年時:r=-0.26 p<0.05,5年時:r=-0.33 p<0.05)。【結語】小学校4年生および5年生の時期には50m走のタイムと足趾把持力の関連が認められた。6年生についても関連している可能性は考えられるものの,単純な相関関係は認められなかった。この時期は様々な要因が複雑に影響してくると考えられたため,今後は縦断研究によって検討していくことが必要になると考えた。

  • 阿部 玄治, 千葉 駿太, 玉山 優奈, 平野 詩織, 向山 和枝, 黒後 裕彦
    2017 年 29 巻 p. 69-72
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】 靴踵部の補強であるヒールカウンター(HC)が,前後方向の立位バランス制御に与える影響を検討する こと。

    【方法】 健常若年者27名を対象とした。HCなし,またはHCを入れた上靴を履いた条件間で,直立肢位に対しつま先側あるいは踵側へ最大に重心移動した際の足圧中心(COP)の前後方向の移動距離を上靴のサイズで正 規化し比較した。

    【結果】 前方へのCOP移動距離は,HCなし条件が26.10±0.91%(平均±標準偏差),HCあり条件が23.9±0.94% であった。後方へのCOP移動距離は,HCなし条件が15.88±1.36%,HCあり条件が17.34±1.38%であった。 バランス制御方向とHCの有無との交互作用を認め,後方へのCOP移動距離はHCあり条件がHCなし条件よりも長い傾向を認めた(p=0.062)。

    【考察】 HCあり条件における後方へのCOP移動距離の増大は,HCが壁の役割を担い踵部の安定性が向上したた めと考えられる。

    【結語】 若年健常者では,HCは後方への立位バランス制御に貢献することが示唆された。

  • -Motor of Ages の視点から-
    佐藤 弘樹, 小野寺 一也, 関 公輔, 佐藤 英雄
    2017 年 29 巻 p. 73-83
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】当センターにおける脊髄損傷者の歩行自立の可否について,Motor of Ages(以下,MOA)が指 標となりうるか比較・検討すること。

    【対象】障害名に脊髄疾患由来の四肢麻痺(QP)もしくは対麻痺(PP)を含む患者62名(平均年齢:58.7 ±16.4歳)とした。

    【方法】入院中の歩行自立の可否を指標として,対象をQP自立・非自立,PP自立・非自立の4群に分類し,入・退院時MOAを多重比較検定を用い,細項目についてχ2独立性の検定を用い比較・検討した。

    【結果】入院時はQP自立がQP非自立,PP非自立よりも,退院時はQP自立・PP自立がそれぞれ,QP非自立・PP非自立よりもMOAが有意に高値を示した。また,入院時MOAの「おすわり」「つかまり立ち」「は いはい」など項目が,その後の歩行自立と関連している。

    【結語】MOAは脊髄損傷者の歩行と関連していると考えられ,入院時MOAを項目別にみることで予後予 測の一助となりうるのではないか。

  • 佐藤 圭汰, 小俣 純一, 遠藤 達矢, 岩渕 真澄, 白土 修, 伊藤 俊一
    2017 年 29 巻 p. 84-90
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】

    ハンドヘルドダイナモメーター(HHD)を用いた座位体幹屈曲筋力測定方法の検者内信頼性を検討すること。今回考案した骨盤固定法の妥当性をMMT・徒手圧迫法と比較検討すること。

    【対象】

    健常成人男性10名。

    【方法】

    等尺性体幹屈曲運動を,HHDを用いた徒手圧迫法・タオルを用いた骨盤固定法による筋力値,表面筋電図を用いた体幹筋の筋活動量を計測した。導出筋は上部・下部腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋,大腿直筋とし,両測定方法の検者内信頼性と妥当性,測定方法間の筋力値・筋活動量を比較検討した。

    【結果】

    検者内信頼性は徒手圧迫法でICC(1,3)=0.959と高い信頼性を認め,骨盤固定法でICC(1,3)=0.949の検者内信頼性を認めた。両測定方法ともにMMTとの相関を認め,徒手圧迫法と比べ骨盤固定法で有意に高い筋力値・筋活動量を認めた。

    【結語】

    HHDを用いた座位体幹屈曲筋力測定は,有疾患者や高齢者においても測定可能な高い検者内信頼性を持つ測定方法である。また測定時にタオルを用いた簡便な工夫をすることで,臨床においてさらに有用な測定方法となり得る。

  • 平山 和哉, 対馬 栄輝, 有原 裕貴, 近江 洋一(MD)
    2017 年 29 巻 p. 91-96
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究は腰椎椎間板ヘルニア(LDH)患者の恐怖回避思考について横断的に調査し,性別や年齢,ADL,理学所見との関連を検討することを目的とした。対象は理学療法を処方されたLDH患者60名であった。恐怖回避思考は恐怖回避思考質問票(FABQ)日本語版を用いて評価し,その他Oswestry Disability Index(ODI),理学所見として腰椎可動域,下肢伸展挙上テストなどを評価した。統計的解析はFABQ下位尺度である,FABQ Physical Activity(FABQPA)とFABQ Work(FABQW)を従属変数とし,性別,年齢,ADL(ODI下位尺度),各理学所見を独立変数とした正準相関分析を適用した。結果,FABQPAには痛みの強さ,神経脱落所見がないこと,腰椎屈曲可動域が小さいことなどが関連し,FABQWには肉体労働者であること,歩行の困難さが強いこと,症状持続期間が長いことなどが関連していた。LDH患者のFABQWは単純に痛みが強いほど高まるとは言えず,理学療法の効果に関わってくるという報告もあるため,理学療法を行う際には特に留意すべきである。

  • 菊地 雅行, 中野渡 達哉, 渡邉 好孝
    2017 年 29 巻 p. 97-101
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は,当院における回復期リハビリテーション病棟(以下,リハ病棟)の在院日数の長期化の要因を明らかにすることを目的とした。 対象:当院のリハ病棟に,平成26年8月1日から平成27年3月31日の間に入院し,退院した患者の内,死亡・急性増悪患者を除いた130名とした。方法:患者特性,リハ実施率,Barthel Index(BI),日常生活機 能評価と在院日数を調査し,在院日数を従属変数,その他の調査項目を独立変数とする重回帰分析を行った。 結果:脳血管疾患,家屋改修が必要であること,リハ実施率が高いこと,入院時BIが低いこと,日常生活 機能評価得点の改善度が大きいことが有意に関連する独立変数として抽出された。 結語:在院日数の長期化を防ぐためには入院時BIの低い症例や脳血管疾患例に対する質の高いリハビリ テーションを提供,家屋調査のさらなる早期化が必要であることが示唆された。

  • 渡邉 基起, 野坂 光司, 畠山 和利, 千田 聡明, 髙橋 裕介, 斉藤 公男, 松永 俊樹, 島田 洋一
    2017 年 29 巻 p. 102-105
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    リング型創外固定術後の理学療法は,踵骨へのワイヤー刺入部痛が荷重や歩行を妨げる一因となる。我々はこの痛みを解決する新しい足底装具を考案し,その効果を検討した。対象は,足関節周辺の障害に対して創外固定術を施行した患者7例であった。我々が考案した足底装具は,尖足予防ベルト,ロッカーボトム, ワイヤー刺入部下方の側壁のみ削るという構造であった。裸足と装具の2条件で疼痛評価テスト(NRS)と荷重率(最大荷重量/体重),10m歩行時間を計測した。結果は,NRSや荷重率,10m歩行時間の全ての項 目で装具群が裸足群より有意に改善した。本研究で用いた足底装具は,踵部脂肪体の形状維持に寄与し,荷重痛を軽減させた可能性がある。今回作製した新しい足底装具は,創外固定の最大の利点である早期荷重や歩行を獲得させた。

  • ~テープ伸張率に着目して~
    川口 陽亮, 尾田 敦, 石川 大瑛, 鹿内 和也, 吉田 深咲
    2017 年 29 巻 p. 106-111
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】筋疲労に伴う位置覚低下に対するキネシオテープ(Kinesio Tape, KT)の効果を,伸張率を変えて検討することである。【方法】対象を健常大学生29名53脚とし,KTを貼付する高伸張群と低伸張群,KTを貼付しないコントロール群に無作為に振り分けた上で疲労課題の前後で膝関節の位置覚測定を行った。測定方法は,開始肢位を端座位とし,膝関節を設定した角度まで他動伸展させた後,自動伸展により再現させ,誤差を求めた。疲労課題はBIODEXを使用し,120deg/sec,膝屈曲90~15°の範囲で等速性膝伸展運動を50回行わせた。統計はKTを貼付しないコントロール群,低伸張群,高伸張群で 30°・60°についての疲労前と疲労後の再現角度誤差を,Tukey-Kramer法にて比較した。【結果】膝屈曲 60°では全群で疲労後の再現角度誤差が有意に大きくなった(p<0.05)。各群間では再現角度誤差に有意差は認められなかった。【結論】位置覚が筋疲労により低下することが示唆された。また,本研究ではKT貼付の有無や,KTの伸張率の違いによる位置覚への影響は貼付直後でも運動後でも認められなかった。

  • ~Navicular drop test,Q-angle,Craig test の検討~
    横山 寛子, 尾田 敦, 白石 彩佳, 鳩岡 洋太, 石川 大瑛, 前田 健太郎, 浦本 史也, 伊藤 亮太, 藤林 直樹, 鹿内 和也, ...
    2017 年 29 巻 p. 112-119
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的はNavicular drop test(NDT),Q-angle,Craig testの検者内信頼性,検者間信頼性を検討することと,Q-angleとCraig testにおいて,ゴニオメーターとデジタル画像での測定角度について比較検討することである。【方法】検者は臨床経験4年の理学療法士(PT)である検者Aと臨床経験2年のPTである検者Bである。被検者は健常成人10名20肢である。方法はNDT,Q-angle,Craig testを2人の検者がそれぞれ3回ずつ測定し,検者内・検者間信頼性について検討した。またQ-angleとCraig testではゴニオメーターとデジタル画像上での測定について比較検討した。【結果】すべての下肢アライメントで検者Bに比べ検者Aにおいて検者内信頼性が高く,検者AにおいてICC(1,3)で0.9以上を示した。NDT,Q-angle,Craig testにおいて検者間信頼性は低かった。Q-angleとCraig testにおいてゴニオメーターとデジタル画像上での測定では信頼性に大きな差はなかった。【結論】下肢アライメント測定は測定に熟練した同一検者において3回測定することで精度を上げることができると考えられる。

  • 2017 年 29 巻 p. 120-140
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/09/15
    ジャーナル フリー
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