2018 年 30 巻 p. 1-5
【はじめに】
小児先天性心疾患患者に発症した右肺上葉の無気肺に対して,無気肺部位を聴診した状態での聴診下全周期呼吸介助手技の無気肺への効果を検討した。
【対象】
症例は2015年12月から2016年12月までに右肺上葉に無気肺を生じた心疾患症例7例を対象とした。
【方法】
左側臥位で,吸気に合わせて胸郭を拡張し,呼気時には右胸郭上肺野を前後方向から軽度圧迫した。無気
肺への効果判定は,呼吸介助手技開始前と翌日の胸部単純X線写真および呼吸介助手技前後の酸素化指数を
用いて評価した。
【結果】
開始時の無気肺のGradeは3が5例,2が2例であった。介入翌日のGradeは2が2例,1が1例,0が4例で有意な改善を認めた(p<0.05)。介入前後の酸素化指数は5例で改善を認めた。Grade0になるまで治療に要した日数は1日(1-12)であった。
【結語】
小児心疾患患者の右肺上葉無気肺への聴診下全周期呼吸介助手技を施行し,有効性と手技の安全性が確認できた。