東北理学療法学
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心房細動による重症僧帽弁閉鎖不全症に対し外科的介入と継続的心臓リハビリテーションが社会復帰に寄与した一例
大森 允有本 貴範沓澤 大輔高窪 祐弥石川 雅樹荒川 忍渡辺 昌文髙木 理彰
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2021 年 33 巻 p. 82-89

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抄録

症例は50代女性。20年前から持続する心房細動により心拡大が徐々に進行し,重度の僧帽弁閉鎖不全症を呈していた。前医でガイドラインに従った慢性心不全の内服処方を受けていたものの,受診が不定期で徐々に病状が悪化していった。1か月前から自宅内での生活も困難となり,慢性心不全の増悪に対しての治療介入と多職種での患者教育が必要と判断され,入院した。入院直後からβ遮断薬,ACE阻害薬,利尿剤の内服の見直しと運動療法を中心とした心臓リハビリテーション(心リハ)によって心不全症状は徐々に改善した。その後,僧帽弁閉鎖不全症に対して心臓手術を施行され,術後は早期離床と症状に応じた心リハを進め,心不全再発予防の指導を入院時から一貫して行い退院となった。退院後は,連携病院で心肺運動負荷試験の結果に基づいて3回/週,3か月外来心リハを継続した。その結果著しい左房拡大の改善と,嫌気性代謝閾値および最高酸素摂取量の改善を認め,復職を許可された。

本症例は内科的,外科的治療と並行して急性期から病期と症状に応じて心リハを行い,退院後も外来心リハを継続したことが,アドヒアランス改善・運動耐容能の改善・社会復帰につながったと考えられた。

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© 2021 公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
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