人類學雜誌
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日本人の Colton 血液型に関するその後の調査成績: Cobが低頻度であることの確認と Diego 血液型から独立遺伝することの証拠
中嶋 八良
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1986 年 94 巻 1 号 p. 107-110

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抄録
著者は以前(1978)に,少数例(520例)の日本人赤血球試料について Cob(Colton) 血液型抗原をしらべ,日本人の間では Cob 遺伝子がないか或いはごく低い頻度でしか存在しないことを報告した.その後さらに東京及び千葉県在住の日本人から集めた4,000例の血球試料につき Colton 血液型の追加調査を行なった結果,0.45%の頻度で Co(a+b+) 型者の存在が認められ,これよりCob 遺伝子の頻度は 0.002 と推定された.この遺伝子頻度は,これまでに報告されている白人におけるそれ(平均約0.04)よりはるかに低く,Colton 血液型が人類学的研究に有用なことを示唆している.また,今回の調査で, Cotton が Diego システムとは独立遺伝することを示す一家族がみつかった.
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© 日本人類学会
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