人類學雜誌
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頭蓋骨研究用の角運動型 X 線断層撮影装置の撮像原理とそれにもとつく装置の試作
遠藤 萬里諏訪 元服部 昌男
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1986 年 94 巻 1 号 p. 95-105

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抄録
一般に,X 線断層撮影装置は医療用に作られているために大きく,しかも患者を載せたり固定したりするために大きな付属品が多く装着されていて,一般の人類学の研究室で使用するのに適していない.コンピューター断層装置はその原理からみて,大いに有用にみえるが,やはり大きくまた高価すぎる.人類学においては,この種の装置は小さいほうが望ましく,場合によっては携帯できるものがよいと思われる.
FENART(1969)は,半規管面を基準とする頭蓋骨研究のために,小型で携帯可能な X 線断層撮影装置を考案し,これを vestibulograph と呼んだ。しかし,彼の記述には,どのような原理で断層撮影ができるのかということについてほとんど書かれていない.それは全く不明といってよい.
筆者らはこのような小型の断層撮影装置の必要性を感じた.そのため彼の装置における断層像の撮像の原理を解明した.彼によると,断層面とフイルム面が,一定範囲の角度内で,平行しつつ回転するとのことであったので,これを前提条件として解いた.
つぎに,その原理にもとづき,角運動型 X 線断層撮影装置を試作し,それによって得られた断層像がFENART の装置で得られたものに匹敵しうることを確認した.
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