抄録
健康な成人男子20名の正常歩行における歩向角の変動パターンが検討された。平らな床上で被験者は自分の最も歩きやすい速度で目標に向かって真っすぐに50m の距離を歩くよう指示され,その時の足跡が連続的に記録された。得られた足跡から左右の歩向角が求められたのち歩向角の変動にみられる周期性を検討するために歩向角の値がフーリエ級数に展開され,いくつかの周期成分に分けられた。その周期成分をもとに三型,すなわち低い周期成分が多く含まれる型,中程度の周期成分が多く含まれる型および高い周期成分が多く含まれる型に分類された。右脚側では低周期成分が,左脚側では中•高周期成分が多く含まれる型が多数出現した。