脊椎における骨粗鬆症あるいは骨量減少は, 変形性脊椎症とならんで骨の老化を代表する疾病と考えることが可能である。この両者は, しかし環境や生活習慣の変遷に伴い, 顕著な時代的変遷が存在する。本研究では, これまで多くの制約条件の存在から診断の困難であった古人骨における骨粗鬆症に対し, 近年臨床的汎用性の有効性の確認されている二重エネルギーX線骨吸収法 (DXA法) を用いて脊椎における骨密度を測定し, 本症の診断に役立てることを目的とした研究を行った。その結果, DXA法による腰椎骨密度は, 形態計測から算出された立方骨密度と高い相関を示し, また変形性脊椎症の存在とは独立に, 真の椎体内骨密度を測定することが可能であり, 古人骨への応用が十分可能であることが示唆された。