2022 年 2 巻 1 号 論文ID: SC-2022-4
Speech Chain は「ことばの鎖」とも呼ばれ、音声コミュニケーションの各過程とそのつながりを的確に表現している。 実際の音声コミュニケーションでは、様々な要因によってその「鎖」が切れかかったり、場合によっては完全に切れてしまったりする。 その1つの例として、非母語話者による音声コミュニケーションがある。 そこで、ある英語非母語話者に対して異なる音環境を再現し、その中で複数の発話スタイルで英語を発話してもら い、その音声信号を分析した。 その際、 異なる音環境として雑音 (バブルノイズ) の有無、複数の発話スタイルと して朗読、ある程度準備された内容の発話、 自然発話などを対象とした。 分析の結果、 雑音環境によって発話された音声の劣化が観測された。音声の劣化そのものは、聞き手の聴取を妨げる。 さらに、聴取の際にも雑音の重畳など音環境の劣化が重なると、聞き取りが加速度的に困難になる。 最終的に、 負の連鎖が Speech Chain の崩壊を招く可能性があることが裏付けられた。