抄録
教育・研究機関向けの無線LANローミング基盤であるeduroamは,これまで多くの機関で,ID・パスワードを使う形で運用されてきた.利用者がID・パスワードを記憶または記録しておく必要性があり,手作業での入力の負担が大きかった.また,打ち間違いによる接続不良も,利便性を損ねていた.一方,市民一般向けのローミング基盤であるOpenRoamingの開発と並行して,OSベンダ各社は近年,Wi-Fi プロファイルを用いたウェブベースのプロビジョニング(準備,設定投入) の仕組みを提供するようになった.プロファイルは,無線LANの設定に必要なパラメータや証明書などを埋め込んだファイルである.これにより,WPA2 Enterpriseの無線LANであっても,利用者が複雑な手順を踏まずに設定できるようになった.本研究では,主要なOSの対応状況を調査した.また,機関の情報システムに組み込んでWi-Fiプロファイルを発行できるようにするためのツールキットを開発し,GitHubで公開した.これを用いると,組織のアカウントなどを用いてログイン済みのウェブサイトから,プロファイルを電子的手段で端末に流し込み,ID・パスワードレスなeduroam/OpenRoaming設定を実現できる.利用者による入力ミス・設定ミスの可能性を極力排除することで,サービスの利便性と安定性の向上が期待される.