応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説:応用糖質科学シンポジウム】 ビフィズス菌におけるアラビアガム分解代謝機構の解明
佐々木 優紀北原 兼文藤田 清貴
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2022 年 12 巻 2 号 p. 108-116

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抄録

アラビアガムは,マメ科アカシア属の木から得られる滲出物であり,ヒトの腸内でビフィズス菌を増殖させるプレバイオティクスとしての機能がある.分子構造の大部分はII型アラビノガラクタン鎖で構成されており,側鎖に多様な修飾糖が付加することで複雑な構造を有している.ビフィズス菌によるカラマツ由来のII型AGの分解機構が明らかになったものの,これらの酵素群はアラビアガムには作用せず,ビフィズス菌の増殖機構は不明であった.筆者らはB. longumのアラビアガム資化性が菌株特異的であることに着目し,資化性試験と比較ゲノム解析によって,資化性菌にのみ共通して保存されている遺伝子クラスターを明らかにした.本遺伝子クラスターにコードされる3-O-α-D-ガラクトシル-α-L-アラビノフラノシダーゼ (GAfase) はアラビアガムの側鎖末端から二糖を遊離する新規の反応性を持つ鍵酵素であった.さらにGAfase作用後に,α1,4-Arafの分解を行うα-L-アラビノフラノシダーゼとエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼが協調的に作用していることを見出し,B. longumにおけるアラビアガム分解代謝機構の全容を明らかにした.

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© 2022 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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