2022 年 12 巻 2 号 p. 117-122
アスパラガス地下部の貯蔵根にはスクロースにフルクトースが結合したフルクタンを蓄積している.アスパラガスのフルクタンは,可食部である若茎の萌芽,伸長のための養分であり,若茎の収穫期に減少する.この養分消費を担うフルクタン加水分解酵素 (FEH) の詳細を明らかにすることを試みた.植物のFEHは他植物においてイヌリン型フルクタンを分解する1-FEH,レバン型を分解する6-FEH,その両方を分解する6&1-FEHが報告されていた.アスパラガス貯蔵根から精製したFEH及びその酵素遺伝子aoeh4からPichia pastorisを用いて作製した組換えタンパク質は1-FEH活性を有するとともに,本来1-FEHが持ち合わせていないイヌリンネオ型フルクタンのグルコースとフルクトースのβ-2,6結合を主に加水分解した.また,アスパラガス若茎の収穫が進み,貯蔵根のフルクタン含量が減少するとともにaoeh4遺伝子発現が上昇し,イヌリンネオ型フルクタンの加水分解活性が増加することから本酵素及びaoeh4遺伝子がアスパラガス収穫期のフルクタン消費に関与することが明らかとなった.