応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説:応用糖質科学シンポジウム】 フザリウム属由来アラビアガム側鎖末端分解酵素の構造機能解析
近藤 辰哉吉條 美由伏信 進矢阪本 龍司
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2022 年 12 巻 2 号 p. 99-107

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抄録

我々は,アラビアガムの糖鎖側鎖末端に位置するキャップ残基α-L-Rha-1,4-β-D-GlcA (Rha-GlcA) を分解する2種の新規酵素 (FoBGlcAおよびFoRham1) をFusarium oxysporum 12S株から単離した.FoBGlcAはRha-GlcAを遊離する新規な基質認識を持ち,糖質加水分解酵素ファミリー79 (GH79) に分類される4-O-α-L-ラムノシル-β-D-グルクロニダーゼであることが明らかになった.また構造解析の結果,サブサイト-2付近の特徴的なループ構造が本酵素の二糖認識に重要であることが示唆された.FoRham1はRha-GlcAを加水分解するGH145にホモログ配列が存在していたが,L-ラムノース-α-1,4-D-グルクロン酸リアーゼであることが判明し,前述のFoBGlcAによって遊離されるRha-GlcAに最も高い触媒効率を示した.FoRham1の触媒残基はGH145には保存されておらず,多糖リアーゼファミリー24 (PL24) とPL25の触媒残基と一致した.これらの結果に基づき,FoRham1は既存のGH145と共に新設のPL42に分類された.

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© 2022 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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