2025 年 15 巻 1 号 p. 2-11
ヘミセルロースは地球上に二番目に多く存在する再生可能なバイオマス資源であり,ペントースを多く含む複雑な分岐構造を有するヘテロ多糖である.ヘミセルロースの研究や利用には,構造を厳密に識別できる酵素を利用することがブレークスルーとなる.そのため,ヘミセルロースの分岐に対する基質特異性の解明は非常に重要である.そこで,本研究では,ヘミセルラーゼの構造と機能の相関について解析を行った.キシラナーゼが特定の構造を持つオリゴ糖を生成するメカニズムや,α-L-アラビノフラノシダーゼ,アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)の糖鎖分解酵素の基質特異性について酵素の立体構造に基づいて解明した.AGP糖鎖分解酵素の研究においては,新規酵素を発見し,たった一つのアミノ酸が基質特異性を制御することを明らかにした.また,L-ラムノースに結合する新たな基質結合モジュール(CBM)を発見し,CBM67を新設した.