2026 年 16 巻 2 号 p. 48-56
糖質加水分解酵素ファミリー15はGH分類が提唱された際に設立されたファミリーの1つであり,当初はアノマー反転型機構でα-(1→4)-グルコシドを加水分解するグルコアミラーゼのみで構成されていた.その後,反転型のグルコデキストラナーゼやトレハラーゼ,さらにはアノマー保持型のトランスグルコシダーゼが発見され,GH15酵素の多様性が明らかになってきた.我々は,イソマルトースに高い基質特異性を有するアノマー反転型酵素イソマルトースグルコヒドロラーゼを発見し,本酵素の反応特異性を特徴づけるPhe290残基の存在を明らかにした.また,デキストリンに作用してデキストランを生成するアノマー保持型酵素デキストランデキストリナーゼのX線結晶構造解析に成功し,アノマー反転型酵素において一般塩基触媒として機能するGlu残基が本酵素では求核触媒として機能する要因を明らかにした.本総説ではこれらの研究成果を中心に,GH15酵素の多様な基質特異性と触媒機構についての構造的洞察を紹介する.