応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説:―受賞論文―】 食品関連多糖類の構造と機能に関する研究
鈴木 志保
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2018 年 8 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

食品に含まれる多糖類は,消化吸収されてエネルギー源や栄養素として利用されるだけでなく,腸管免疫や腸内細菌叢に作用して生体の恒常性維持に関わっている.一方,多糖類は安全で再生可能な機能性素材であり,難溶性物質の分散剤や食品包装材として利用できる.本研究では,食品に関連する多糖類について,多糖類の分離・精製,一次構造解析や高次構造解析,分子量測定により詳細に特徴付けした試料を用いることで,一次構造や分子量,高次構造が機能の発現の大きな要因であることを示し,その相関についての知見を得た.対象とした多糖は,海藻多糖(アルギン酸,フコイダン),植物由来多糖(澱粉,アラビノガラクタン),微生物産生多糖(ケフィラン,ビフィズス菌産生多糖,クレモリス菌産生多糖,プルラン),動物由来多糖(キチン),酵素合成多糖(アミロース,シクロデキストラン)などである.これらの結果から,食品多糖の機能を理解するためには,その分子量,構造(高次構造を含む)並びに物性を明らかにすることが必要であることがわかった.

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© 2018 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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