2018 年 8 巻 1 号 p. 63-69
「小麦粉でパンを焼くことはできるが,米粉ではパンを焼くことはできない」という従来の常識に対し,我々は「生地のレオロジー的性質さえ適切に制御できれば,米粉生地でも製パンは可能である」という着眼点のもとで成果を挙げてきた.本稿では,最初に著者の専門分野であるプラスチック材料のレオロジー的な知見が製パンなど加工性を制御する上で重要なツールになることを述べた.さらに著者らが検討を進めてきたグルテンフリーによる製パン技術を概説した.グルテンフリーによる米粉パンの製パン法として,非晶性米粉を添加する手法,米粉の粒度分級による手法,米の品種を選択する手法について述べた.最後に,米粉100%による製パンを実現する上で鍵となった非晶性米粉(アルファ化米粉)の全く新しい製造技術について触れ,加熱・せん断下で米粒を粉砕することで従来よりも短時間かつ簡便に非晶性米粉(アルファ化米粉)が得られることを述べた.さらに,本技術が澱粉だけではなくセルロースにも適応できる可能性について簡単に触れ,本研究の今後の展開について述べた.