2018 年 8 巻 2 号 p. 102-109
β-1,2-グルカンは主にグラム陰性菌の生産する環状糖として存在する.本研究では,β-1,2-グルカンの分解代謝に関わる酵素群の探索と機能構造解析を行った.糖質加水分解酵素ファミリー(GH)94よりβ-1,2-グルカン合成可能な新規ホスホリラーゼ(SOGP)を発見した.また,この酵素を用いたβ-1,2-グルカンの大量合成法を確立した.Listeria innocua 由来sogp 遺伝子を含む遺伝子クラスター内のβ-グルコシダーゼホモログとABCトランスポーターの基質結合タンパク質ホモログの基質特異性の解析を行った.β-1,2-グルコオリゴ糖に対する鎖長特異性から,これらがSOGPと協同的にβ-1,2-グルコオリゴ糖代謝に関与することが示唆された.また,これら3つの酵素,タンパク質の基質との複合体構造から,結合位置特異性や鎖長特異性を生じる構造的要因を明らかにした.細菌由来β-1,2-グルカナーゼの同定を行ったところ,この酵素は新規アミノ酸配列を有していたことからGH144が創設された.さらに,この酵素が反転型の反応機構を有すること,基質との複合体構造を明らかにした.