応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【総説:―受賞論文―】 新しい水溶性食物繊維イソマルトデキストリン(ファイバリクサTM)の開発
渡邊 光 定清 剛櫻井 岳夫黒瀬 真弓桑原 理栄津﨑 桂二
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2019 年 9 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

我々は微生物酵素技術を用いて,澱粉から食物繊維として機能する新しい糖質素材の開発を試みた.その結果,土壌由来微生物Paenibacillus alginolyicus PP710の培養上清中に澱粉から消化酵素耐性の糖質を生成する活性を見出した.この糖質の構造を決定したところ,α-1,6結合,α-1,3結合及び3,6-ジ-α-グルコシルグルコース基(以降,便宜的にα-1,3,6結合と表記する)を含む,多分岐のα-グルカンであることがわかった.我々は本糖質をイソマルトデキストリン(IMD)と命名した.IMDは基質である澱粉に比べ枝分かれ構造が増加しており,そのため消化酵素に耐性の食物繊維として機能すると考えられた.PP710株の培養上清からIMDの生成に関与する酵素を精製したところ,6-α-グルコシルトランスフェラーゼとα-アミラーゼの2種の酵素が見出され,IMDの生成にはこれら2種の酵素が協同的に作用する必要があることがわかった.我々はこれら2種の酵素を利用したIMDの工業製造プロセスの開発に成功し,食品加工上の物性・安定性や生理作用の観点から,他の水溶性食物繊維にはない価値を提供できる素材として販売を開始した.

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© 2019 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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