CHESS法による脂肪抑制法は足関節領域では局所磁場が不均一になり、脂肪の抑制効果が低下する。本研究では0.3Tの低磁場MRI装置を用いて、油と寒天を封入した自作ファントムにライスパッドを5箇所に配置し、それぞれの配置箇所においてSE法のT1強調画像とCHESS法の脂肪抑制T1強調画像を撮像した。これらの画像を用いて油と寒天の信号値よりコントラスト比を算出した。次に、健常ボランティアの足関節について同様に5箇所にライスパッドを配置し、CHESS法の脂肪抑制T1強調画像を撮像した。これらの画像を用いて視覚評価および有意差検定を行った。その結果、ファントム画像、ボランティア画像いずれにおいてもライスパッドを前と左右に配置したときが最も画像に感度ムラがなく、全体に均一な脂肪抑制効果が認められた。次に抑制効果が高かったのは上と左右に配置したときであった。これらの結果より、左右の配置を基盤として、補助的に前(足底部)、上(足背部)にライスパッドを入れることで磁場の不均一が解消され、撮像範囲全体に均一な脂肪抑制効果が現れると考えられた。以上のことから、ライスパッドを適切な箇所に配置することで、低磁場装置のCHESS法においても均一に脂肪を抑制できる可能性が示唆された。