データ分析の理論と応用
Online ISSN : 2434-3382
Print ISSN : 2186-4195
論文
エシェロン階層構造を利用した森林の分割
小田 牧子石岡 文生正木 隆栗原 考次
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2012 年 2 巻 1 号 p. 17-31

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抄録

森林における樹木の動態の調査や定量的評価を行う場合,森林を分割した小区分ごとで分析が行われる.その際,森林の分割には,森林を等間隔に分割するような方法より,それぞれが生態学的に同じような性質をもつ分割の方が望ましい.このような生態学的に共通属性をもつ領域をパッチと呼ぶ.パッチを同定するには,通常,メッシュ内の樹木構成や特定の種目の生態に限定した分割手法が用いられる.しかし,既存の方法には,メッシュの大きさの選択がパッチの大きさに依存する,森林自体が多種の樹木によって形成されていることが反映しにくいという難点がある.よって,これらの点を改善したパッチの同定法が重要である.

そこで本論文では,空間の位相的構造を階層的に表現できるエシェロン解析を用いて,森林を構成するパッチを同定する手法を提案した.エシェロン解析を利用することで,全樹種の生態や森林の更新を反映したパッチの同定が可能になることを示した.さらに,茨城県の小川試験地のデータに適用し,提案した手法の利便性を示し,森林の階層構造及び不均一性を明示した.

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© 2012 日本分類学会
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