データ分析の理論と応用
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論文
評定尺度における反応傾向を考慮した係留寸描データのベイズ的項目反応モデル
北條 大樹岡田 謙介
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2017 年 6 巻 1 号 p. 113-125

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抄録

評定尺度を用いたテストや調査は幅広い分野で利用されるが,得られたデータは本来測定したい構成概念だけでなく,回答者の反応傾向をも反映してしまうという問題点がある.この両者を分離可能なデータ収集法として係留寸描法が提案されており,とくに近年,現代テスト理論に立脚した係留寸描データのベイズ多次元IRT 型モデルが提案された.こうした中で,本研究では先行研究を3 点において拡張した.第1 に,数値的なベイズ推定法および予測の観点からみて妥当性の高い情報量規準である,WAIC とPSIS-LOO を用いたモデル選択を導入した.第2 に,項目パラメータと回答者パラメータの双方を含んだ多値型の2 次元IRT モデルのような複雑な構造に適する,ハミルトニアンモンテカルロ法を用いて事後分布からのサンプリングを行った.第3 に,提案手法を2 つの新たな実データに適用し,結果の汎用性を検証した.その結果,いずれのデータにおいても,提案手法を用いた係留寸描法による補正の効果が明確に示された.評定尺度を用いた計量分析における,回答者の反応傾向を用いて素点を補正することの重要性と,現代テスト理論に基づくモデルの有用性が確認された.

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© 2017 日本分類学会
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