学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
中学校における学級経営の構造的視点からの検討
平野 達郎
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2019 年 8 巻 p. 1-15

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抄録
本研究の目的は,中学校の学級経営を構造的な視点から検討し,示唆を得ることである。調査は,中学校の学級担任教師とその学級の生徒に,6月と12月の2回に分けて実施した。質問項目は,「指導行動」(教師による学級への指導行動の認知)と,その結果としての「学級状況」(生徒による学級活動の状況評価)である。また,12月には,スクール・モラールの調査も併せて実施した。まず,学級担任教師への調査を因子分析し,「指導行動」の認知として,PM式リーダーシップ理論のM機能因子「配慮」とP機能因子「規範」を抽出した。また,生徒への調査を因子分析し,「学級状況」の評価として,M機能因子「配慮状況」とP機能因子「規範状況」を抽出した。次に,共分散構造分析によって,学級経営の構造を明らかにした。その結果,6月は,「指導行動」による「学級状況」への影響が低く,「学級状況」によるスクール・モラールへの影響も低かった。一方,12月は,「指導行動」による「学級状況」への影響が低いながらも一定見られ,「学級状況」によるスクール・モラールへの影響も認められた。最後に,「指導行動」と「学級状況」の差異で,「自負群」(高群)「中間群」(中群)「謙虚群」(低群)に分け,差異の観点から分析した。12月のスクール・モラールとの関係を一要因分析すると,「謙虚群」「中間群」「自負群」の順でスクール・モラールが高かった。また,6月の「学級状況」はどの群も差が認められないが,12月には,「謙虚群」「中間群」「自負群」の順で高かった。一方,「指導行動」は,6月は,「自負群」「謙虚群」,12月は「自負群」「中間群」「謙虚群」の順で高かった。さらに,各群の6月から12月への変化の分析を行うと,「謙虚群」の「指導行動」は減少しているが,「学級状況」は増加していた。この結果から,学級経営は,実際の「学級状況」を生徒の視線で捉え,時期による指導の重点を押さえながら,謙虚に取り組むことが重要であることが明らかになった。
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© 2019 日本学級経営心理学会
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