2017 年 6 巻 1 号 p. 83-99
大学で学ぶための基本的能力を「言語運用力」と「数理分析力」という2つの分野で測定しようとする試験に関して,2値の得点データの多重対応分析によって問題項目の特徴を検討した.各問題項目には,測定しようとする能力を分類したラベルを付し,多重対応分析の3次元解と対応させて,各次元を解釈した.1 次元目は総合的な学力評価を表す次元,2次元目は,数や式の扱いや比較的単純な法則を理解する能力を要する項目と,論理性の強い問題を解決する能力を要する項目を区別する次元と解釈した.3次元目は,より高次の思考を要する項目かどうかを区別する次元と解釈した.3次元までの累積説明率は低く,データの縮約はあまり効率よく行えていないものの,全体として,測定しようとする能力の分類に沿った解釈が可能であり,分析対象とした問題冊子は妥当な構成になっていると思われる.本研究は,試験の開発サイクルの一端を担うものであり,試験の改良のためには,難度の高い項目の開発や,幅広い能力のモニター受検者の解答データの収集を行うことで,受検者の能力の識別に貢献する問題を増やす必要がある.