健康科学大学紀要
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Print ISSN : 1882-5540
原著論文
A県内の病院における大雪災害時の取り組みと医療安全上の課題
小林 美雪石井 仁士古屋 塩美渡辺 久子一瀬 明信須山 千恵流石 ゆり子上條 優子
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2018 年 14 巻 p. 29-46

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抄録

【目的】平成26年2 月の大雪災害時のA 県内の病院における患者と医療者の安全確保への取り組みの実態を把握し、課題を明らかにする。
【方法】A 県内全病院の医療安全管理者を対象に、無記名自記式質問紙及びグループインタビューにより雪害前から雪害時の安全確保の取り組みについて調査を実施した。
【結果】60施設中23施設(38%)から回答を得た。病床別では約90% が300床以下、職員数は約70% が300人以下の病院であった。医療安全管理者の配置は専従4 名(17%)、専任4 名(17%)、兼任9 名(39%)であり、専従医療安全管理者は全て看護師であった。保健所管内別の取り組みでは、a, c, d保健所管内では初動期から取り組んだ施設が多く、b 市内やc保健所管内は、事前準備に十分に取り組めていなかった。雪害各時期の取り組みのカテゴリーは、〈事前準備〉〈非常時の医療体制の確保に向けた取り組み〉〈医療体制の安定を目指した取り組み〉〈雪害対策の整備への取り組み〉〈雪害時の院内・地域との連携〉が抽出された。
【結論】各地域別の取り組みの課題と、災害時の医療安全管理者の組織横断的な動きへの介入および院内安全確保への取り組みの課題が見出された。

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