2021 年 41 巻 3 号 p. 183-186
症例は67歳,男性。呼吸困難を主訴に当科紹介となった。8年前に肝細胞癌に対して,肝右葉切除術および横隔膜合併切除術を施行し,術後3年目より右横隔膜ヘルニアを認めていた。胸部単純写真,CTで回腸と右側結腸が右胸腔内に脱出しており,右肺が虚脱していた。バイタルサインは安定しており,腸管虚血を疑う所見を認めなかったため保存的加療を行ったが,翌日症状の増悪を認めたため,緊急手術を施行した。右胸腔内へ脱出した腸管を腹腔内に還納すると,胸壁に圧排された盲腸壁に虚血性変化を認めたため,回盲部切除術を施行した。ヘルニア門は,ヘルニアパッチを用いた縫合閉鎖術で修復した。術後22日目に合併症なく退院となった。術後8年を経て嵌頓した症例はいまだ報告がなく,広範な横隔膜欠損に対し,ヘルニアパッチを用いた1例を経験したので報告する。