バイオメカニズム
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4部 筋・骨格
誘発筋音図の伝達関数の同定と筋力学特性の刺激頻度依存性の解析への応用
宇佐美 洋佑宮原 佐和内山 孝憲
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2012 年 21 巻 p. 195-205

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抄録

誘発筋音図の伝達関数を用いて筋力学特性の刺激頻度依存性を明らかにすること目的とする. 健康な男性7名を対象に, 総腓骨神経を電気刺激して前脛骨筋の収縮を誘発した. 電気刺激はパルス幅500 [μs] の単極性パルスとし, 刺激頻度を1─10 [pulses/s] まで12通りに変化させて筋音図を測定した. 電気刺激を入力, 筋音図を出力とするシステムを考え, その伝達関数を同定した. 伝達関数を2次系の力学モデルと比較して, 分母の係数を筋の粘弾性の指標として刺激頻度との関係を調べた. 筋音図の伝達関数は全ての刺激頻度において6次のモデルで記述できた. さらに2名の被験者について, 1─50 [pulses/s] の電気刺激を与えたときの筋音図を測定して伝達関数を同定したところ, 同様に6次のモデルで記述できた. 伝達関数の分母の係数は, 刺激頻度とともに増加するものと, 刺激頻度に依存しないものがあった. 以上のことから, 筋音図が誘発されるシステムは6次系のモデルで表すことができ, 収縮が融合する過程において, 筋音図の伝達関数は筋および皮下組織の能動的要素と受動的要素の特性を反映すると考えられる.

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© 2012 バイオメカニズム学会
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