Bird Research
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原著論文
日本におけるコクガンの個体数と分布(2014-2017 年)
藤井 薫
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2017 年 13 巻 p. A69-A77

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抄録

日本国内に渡来するコクガン Branta bernicla の個体数と分布を明らかにするために,道東コクガンネットワークが中心となって2014-2017年までの3年間,秋期,冬期,春期全国一斉調査を実施した.全国32か所の調査地の中で,コクガンが記録されたのは27か所であった.その中でアジア太平洋地区のコクガンの重要渡来地となる1%基準値の65羽を超えていた地域は,国後島,野付湾,風連湖,浜中・琵琶瀬,厚岸湾,浦河,伊達周辺,渡島半島東部,函館湾周辺,青森県下北半島周辺,青森県陸奥湾周辺,青森県太平洋側,岩手県,宮城県南三陸①,宮城県南三陸②,宮城県蒲生海岸の16か所であった.本調査で記録された最高羽数は2015/2016秋期の8,602羽で,野付湾ではその84%にあたる7,233羽が記録された.日本全国のコクガンの渡来数は,秋期は8,600羽,冬期は2,500羽,春期は3,100羽と推定された.秋期と春期には国内の80-90%のコクガンが野付湾と国後島南部に集中し,春期は国後島南部の比率が高くなった.秋期に北海道東部で8,600羽以上のコクガンが記録されるのに対して,国内の越冬数が2,500羽,春期の北海道東部の記録羽数が3,100羽と異なっており,60%以上の個体がどこで越冬し,どこを通過しているのかは不明だった.

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