鳥類の生息状況のモニタリングにおけるスポットセンサスの有効性を検討するために,越冬期と繁殖期に各13か所の森林で,ラインセンサスとスポットセンサスによる,鳥の種数・個体数の把握状況の比較を行なった.その結果,越冬期・繁殖期ともにスポットセンサスは,ラインセンサスより多くの種を記録し,しかも記録率も短時間で高くなった.記録された個体数は,越冬期・繁殖期ともにスポットセンサスとラインセンサスのあいだに正の相関がみられたが,越冬期は両手法で記録された個体数の差が大きかった.繁殖期のスポットセンサスの各定点の最大値の合計値とラインセンサスの最大値は極めて近い値をとり,個体数のおおまかな比較も可能と考えられた.以上の結果から,鳥類の生息状況のモニタリング調査のために,スポットセンサスは効率的な方法と考えられた.