2023 年 2 巻 p. 17-24
近年,把持力補強を目的としたソフトロボットグローブが脳卒中患者などの日常生活の自助具として導入されているが,ゴルフなどのスポーツおいても有効である可能性がある.しかし,ゴルフスイングの運動力学的解析は,健常アスリートに焦点が当てられており,障害者における知見が不足している.本研究では脳卒中後左片麻痺を持つ障害者のレクリエーション・ゴルフのための予備的評価として,ソフトロボットグローブを用いたゴルフスイングの運動力学的データを取得した.ゴルフ未経験の健常者2名(男性,右利き)がボランティアで参加し,光学式三次元動作分析装置と各足1枚ずつの床反力計を用いて,反射マーカーからクラブのヘッドスピード[m/s]を記録した.また,インパクト局面での足部の運動力学的データとして,水平距離(スタンス幅)[mm]と鉛直床反力[N]が抽出された.左手にソフトロボットグローブを装着したスイングでは,インパクト局面でヘッドスピードと左軸足の床反力に有意な増加を示した.さらに,ソフトロボットグローブを装着することによるパワーアシストで,Borg CR-10 scaleも4から2~3へ軽減され,良好なスイングが認められた.また,脳卒中後左片麻痺患者(男性,右利き,Brunnstrom stage上肢V・手指IV)で,シミュレーターを用いて計測したところ,左手にソフトロボットグローブを装着したスイングでは,ヘッドスピードと推定飛距離が有意に向上した.したがって,ソフトロボットグローブは,片麻痺ゴルファーの把持力補助において有効なウェアラブルデバイスとして利用できる可能性が示唆された.今後,症例集積研究にて有効性を明らかにする必要がある.