2025 年 4 巻 p. 17-25
本研究の目的は,商業施設と連携した地域コミュニティサロン(以下,作業教室)の参加者を対象に,プログラム終了後のアンケート結果を主観的側面から記述的に検討し,作業活動を中心とした作業療法の意義を明らかにすることである.地域在住の高齢者を対象に本学科の作業療法士の教員が講義と作業活動(レザークラフト,マクラメ,タイルモザイク)を組み合わせた全6回のプログラムを実施した.各プログラム終了後に,情動,心身機能,コミュニケーションと交流,環境の4領域25項目から構成される「作業活動に関するアンケート」(以下,アンケート)を行い,44名から回答を得た.設問1~24は記述統計で分析し,設問25(自由記述)はBerelsonの内容分析に基づいて検討した.その結果,記述統計では多くの参加者が作業教室を肯定的に評価していた.内容分析では〈作業活動の楽しさ〉,〈交流と社会参加〉などの《肯定的な体験》が93.4%を占め,作業教室により満足感の向上や社会参加の促進につながった可能性が考えられた.一方,〈作業活動の課題〉,〈加齢による健康状態への違和感〉といった《否定的な体験》も6.6%にみられた.これらの結果から,作業教室は参加者の情動的な充足,心身機能の活性化,コミュニケーションと交流の促進,生活環境への波及といった多面的な意義をもたらし,地域における作業療法の実践的重要性を根拠づける知見となった.今後の課題としては,参加者の身体的・認知的特性に応じた作業活動の段階づけや環境の支援体制の整備が必要である.また,本研究は対照群を設けていないことやアンケートの妥当性・信頼性が十分に検証されていない点に限界があり,研究デザインや評価尺度の精緻化が求められる.